THE DESPERADOS
1969年。監督ヘンリー・レビン。主演ヴィンセント・エドワーズ。音楽デイヴィッド・ウィティカー。
個人的には主人公のデイヴィッドが残念なのであった。中肉中背でシュっとしてなくて、モタっとしてて、いまいち魅力に欠けるのであった。
だがそれを補ってあまりある男がいたのである。当然のことにジャック・パランス演じるジョシアである。
秘密結社「ジャック・パランスの息子たち」会員からすれば、もうそれだけで名作である。
これぞジャック・パランスというクレイジーなパパ、ヤバいパパ、人としてかなり残念なパパをパランスは魅力的に演じてくださったわけである。
主演はジャック・パランスといっていい。そもそも「ならず者たち」である。主人公のデヴィッドは足を洗った元ならず者である。ならず者はジョシアである。つまりはパランスである。
気づくとぼくは拝んでいた。今にも折れてしまいそうな枝の上でぼくは拝んでいたのだった。
南北戦争の時代、ジョシア率いるガルト一家は南軍不正規部隊で戦闘員・非戦闘員を問わずに略奪と殺戮を繰り返していたのだった。
これはあかん。あかんではないか。
と思った長男デイヴィッドは異議申し立てをして謀反を起こし家庭裁判になってパパのジョシアに死刑を宣告されるのだった。
ひでー。
でも逃げた。どうにか逃げた。そして南北戦争は終わり、まあもともとそうなんだけど、ガルト一家は単なるならず者集団になり、逃げたデイヴィッドはローラと結婚して息子ができて、はは、今は今さね、などとテキサスで陽気に暮らすのだった。
というのは言い過ぎで、肉親であるガルト一家の影に脅えながら静かに暮らしていたのだった。
でもそんな楽しい日々も、やさしい時間もいつまでもつづくことはなく、ある日町にパパたちガルト一家が現れたのだった。
やべえじゃん、ってデイヴィッドは過去を素直にコクっているキルパトリック保安官に報告し、どりゃあ、って弟であるジェイコブとアダムを逮捕したのだった。
でも逃げられた。
あっさり弟たちは逃げた。おかげでデイヴィッドは了見が狭い町民どもに疑われてリンチ、というか絞首刑寸前までいくが保安官に救われるのである。
そのあとはデイヴィッドは家族のもとに戻ったふりをしてみたりして、なんだかイロイロぐちゃってなってジョシアに一人息子を拉致られてしまう。
さすがジャック・パランスである。孫をさらってしまうのである。
嗚呼デイヴィッド。弟であるジェイコブとアダムを倒して最後はパパを撃ち殺すデイヴィッド。
もう気がふれて奇声を発するなど、実に魅惑的で、彼岸の人にしか見えないパパを撃ち殺すデイヴィッド。子が親を殺す。カイロ・レンである。
かなり重たいラストのはずたが、実際はあまり重くない。なぜだろう。たぶんジャック・パランスだから。ジャック・パランス万歳!
それじゃあ読者諸君、毎日は愉しいだけじゃない。哀しいだけじゃない。では失敬。