片手にドーナツ、心に花束

西部劇、マカロニウエスタン、ときどきアメコミ。

【モンテ・ウォルシュ】

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MONTE WALSH

1970年。監督ウィリアム・A・フレイカー。主演リー・マーヴィン。ジャック・パランス。音楽ジョン・バリー。

くたばれコロナ!とりあえず小さくたって大声で言わねば気がすまぬ昨今。家から出ずに映画でも見ようかなと考えているなら西部劇はどうか。もし西部劇を選択するなら是非とも推奨したいのが今日の一品。「モンテ・ウォルシュ」だ。

僕の心の西部劇ベスト10第1位である。ずっと不動の1位である。

リー・マーヴィンとジャック・パランスのバディムービー。すごくね?そしていきなりママス&パパスのママキャスが歌うOP「The Good Times Are Coming」で胸をかきむしられるのだった。期待度満点で見始めて、期待は裏切られることはなかった。いわゆるラスト・サムライ的な、サム・ペキンパーがこだわりつづけた終わりゆく西部への挽歌なのであった。時代の変化に乗り切れない不器用な男の映画というわけだ。

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映画「モンテ・ウォルシュ」より

西部開拓時代末期、流浪のカウボーイであるモンテとチェットはやってきたハーモニーという町で旧知の牧場主ブレナンに雇われるのだった。牧場は東部の資本家に買収されていて雇われオーナーみたいになっていたブレナンだが、いいよー、と二人を雇い、モンテとチェットは定職にありつき落ち着いた日々を送るのだった。仲間と馬鹿みたいな毎日を過ごすのである。さらにはモンテは元カノのマルティーヌと再会したり、チェットは金物屋のメアリーといい感じになったりして、やっぱ安定・定住はいいわあ、みたいな感じになるのだが文明開化の音がして、西部開拓時代が終わろうとしているのは自明なことなのであった。

リストラである。牧場でもリストラが断行されたのである。仕事ができる・できないではなく若いからまだどうにかなる、ということで若手三人が肩を叩かれたのである。生き残ったモンテとチェットだが、もはやカウボーイやガンマンの時代ではなくなっていて、二人も岐路に立っていた。

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映画「モンテ・ウォルシュ」より


で、遂には牧場も閉鎖されチェットはメアリーと結婚して金物屋主人になることを決めたが、自分不器用じゃけん、とモンテはカウボーイにこだわりつづけるのだった。カウボーイしかできない、でもそれじゃあマルティーヌと結婚できない、おれ、どうしよう、とかなんとかモンテが思案に暮れているとリストラされたショーティがアウトローに身を持ち崩して、あろうことかチェットの金物屋に押し入り結果チェットを殺してしまうのだった。

切ない映画である。時代の変化に器用についていけない無様な男たちの憐れな末路なのであった。ペキンパーの映画のようなバイオレンスがあまりないだけに余計に胸に染みてくるのである。

秘密結社「ジャック・パランスの息子たち」のメンバーとしては当然のことに避けては通れない、最重要映画である。とにかくジャック・パランスがいいのだ。西部劇で見ることが多いのだが、いつも悪役だったりキテレツなキャラだったりするので、良き相棒だったり未亡人に恋したり金物屋店主を不器用ながらもこなしたりするような真っ当な男役が新鮮である。でもはまってた。最高である。

西部劇のジャック・パランスを堪能したいなら、まずは「シェーン」だ。黒い殺し屋から入るべきだ。すでに妖しさは一流である。そこからマカロニを経由して「豹/ジャガー」「ガンマン大連合」で彼岸に行ってしまったパランスを楽しむ。そして「ならず者」で、パランスはもう帰ってこないことを知るのだ。そして少し時を戻そう。「プロフェッショナル」のラザでいい意味で裏切られるのだ。そこから今作である。もう涙なしでは見られない。さらに西部劇ではないが、もしチェットが生きていたらこんなふうに、なんて空想しながら「バグダッド・カフェ」を見てはどうだろうか。嗚呼、わけわかんないこと書きつらねてすみません。

もちろんリー・マーヴィンも負けてない。チェットよりさらに不器用なモンテ。チェットの結婚式の帰り道でのモンテには不覚にも落涙してしまった。チェットは新しい道を選び、モンテは一人になってしまう。長年の相棒であり友人であるチェットの新たな旅立ちを喜びながらも哀しみのど真ん中に立つモンテ。あ、「プロフェッショナル」つながりの二人だった。

それじゃあ読者諸君、こんな日々は哀しいだけじゃない。愉しいだけじゃない。一人一人がそれぞれの場所で踏ん張るんだ。がんばらない。怠けないこと。では失敬。

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映画「モンテ・ウォルシュ」より