Seven Men From Now
1956年。監督バット・ベティカー。主演ランドルフ・スコット。音楽ヘンリー・ヴァース。
七人の無頼漢、といいながらいきなり冒頭で二人ほふられてるじゃないか。と思ったけど中途で現れるリー・マーヴィンたちを加えた七人なのかしら。どちらにせよ、タイトルになってるわりには無頼漢が大暴れするわけではない。まるで七人の無頼漢たちが主役のようなタイトルの西部劇だが、そうではない。まあ、どうでもいいけど。
とにかく困ってる人を見捨てない。とにかくいい人。そんな男スライド。あたい、こんな風になりたいの。でもなれないの。
で、こんな話さ。
ストライドは元保安官なのだが、七人の無頼漢どもが起こした銀行強盗によって、そこで働いていた妻が巻きぞいを食らって殺されてしまったのであった。復讐のためにストライドは保安官をやめて七人の無頼漢どもをぶち殺していくのである。
冒頭で野営をしていた二人に、やあ、なんてフレンドリーに近づきクールに銃殺した男が、そのあとに馬車で川を越えるのに難儀していたジョンとアニー夫妻を助けてるものだからゾクっとする。
夫婦は、いや、もう無理っす。このまま一生この川で暮らします。って感じだったし、夫のジョンがどうにも頼りないというか、使えねえなあ、この先不安だなあって感じだったのでスライドは二人に同行するわけだが、それにつけてもいい人すぎるじゃないか。なぜなら絶対的純粋善意だから。
個人的には幌馬車で野営をしながら荒野を進んでいく、というタイプの西部劇がすごく好きで、よかったよね、安心だよね、などと三人で旅をつづけているくだりはたまらない。厳しい旅路なのはわかっているが、憧れるのである。幌馬車でアメリカ大陸を横断してみたくなるのである。だけどヘタレの僕には絶対無理だね。
でもストライドとは旧知の仲であるマスターズとクリントが強引に仲間入りしてくると楽しげな雰囲気をぶち壊してくれて、なんだかよくわからない5人組のチームになって、それぞれなにやら胸に秘めて進んでいくのであった。
リー・マーヴィンがいい。なんでこんなダメ男(ジョン)が結婚できて、俺はできないんだ!などと地団駄を踏むのである。いや、実は踏んでないんだけど、可愛らしいくらい阿呆なのである。でもカッコいいのである。善でも悪でもカッコいいんだよ、マーヴィン。
ランドルフ・スコットはいかにも頼れる西部の男で、こんなのと比較されたら普通のメンズは敵うわけないのであった。どうせ俺はダメな男さ、と思うしかない。リアリティに欠けるくらいのいい男なわけだが、やはり西部劇を見るという行為は、そういう男に憧れて我を忘れたりしてみる体験なわけである。
はっきりいってジョン・ウエインを見て、よし俺も!とはあまりならないのだが、ランドルフ・スコットだとそう思えるのである。不思議なことに。ランドルフ・スコットにはそういう魅力があるというわけだ。個人的には、ということだが。
荒野をゆく幌馬車ですよ。野営してコーヒー飲みたい↓
それじゃあ読者諸君、毎日は愉しいだけじゃない。哀しいだけじゃない。では失敬。