片手にドーナツ、心に花束

西部劇、マカロニウエスタン、ときどきアメコミ。

【悪党に粛清を】

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The Salvation

2014年。監督クリスチャン・レヴリング。主演マッツ・ミケルセン。音楽カスパー・ウィンディング。

デンマーク産西部劇なのであった。ヨーロッパ映画のためなのか、全体をどよーんとした感じが貫いている。トーンもかなり暗い。けれども、実に王道をいくウエスタンなのであった。邦題も堅苦しくてステキです。

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映画「悪党に粛清を」より


デンマーク出身のジョンは兄と共にアメリカで夢見たろ、って頑張って7年、ようやく呼び寄せた配偶者と息子をいきなり無惨に殺されるのだが、その復讐はけっこうあっさり果たされるのだが、おかげで町を実効支配している仇の兄貴に標的にされてしまう。まあこの仇の兄貴デラルーが悪い悪い。極悪非道である。たぶん「スーパーナチュラル」のウィンチェスター兄弟のパパだ。伝説のコルトを所有してたパパだ。で、そのパパ、いやデラルーは弟を殺した犯人を見つけろ、今すぐにとかブチ切れて、あかんかったら代わりに町の住民を殺すんやで、って本気ですのん?

本気なのであった。

町長推薦の婆様と両足のない男が処刑されるが物足りないとさらにもう一人殺されてしまうのであった。結局は町民のチクリでジョンは捕まって拷問されるのだが、兄貴に救出される。でも今度は兄貴が殺されてしまう。さらには最初に殺したデラルーの弟の嫁さんマデリンが絡んできたりして、ここからジョンの復讐劇が始まるわけである。

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映画「悪党に粛清を」より


デラルーは極悪非道なのだが、正直敵があまり強くない。バカみたいな人数を相手にするわけではないのでそんなに無茶な復讐劇ではない。処刑された婆様の孫が助太刀してくれるし、けっこう簡単なミッションに思えてしまうのだった。とはいえカタルシスが得られないわけではない。そこはやはりデラルーの残忍さがこれでもかと描かれているからだろうし、リアリティという意味では丁度いい銃撃戦なのかもしれない。だけど虚しい。復讐を果たしたところで、嫁、息子、兄貴は戻ってこないという現実に向き合うジョンのやりきれなさが痛いほどに伝わってくる。「あんさんみたいな救世主の出現を待ってたよ」とってつけたように腰抜け保安官がほざくのだが虚しさ倍増であった。原題は救済という意味だが、果たして救いはあったのか?

最後は荒野に乱立する石油の採掘装置が映し出される。アメリカという大国が近代化に向けて動き出す象徴なのか。抗いがたい巨大な怪物の足音が聞こえてきそうなラストである。

それじゃあ読者諸君、日々は愉しいだけじゃない。哀しいだけじゃない。では失敬。