THE GUNFIGHTER
1950年。監督ヘンリー・キング。主演グレゴリー・ペック。音楽アルフレッド・ニューマン。
ワイアット・アープよりもワイルド・ビルよりも早撃ちと言われるジミー・リンゴ。
で、こんな話さ。
西部一の早撃ちと呼ばれるだけあって、ジミー・リンゴは有名人であった。なので名を上げたい超ウザいバカが、靴底のガムみたいにまとわりついてくるのでジミーは嫌気がさしているのであった。
しんどいわあ、とか思ってる間もなくまたカスが、「ジョジョ」に出てきそうなイキったポンコツが酒場で接してきたので射殺したリンゴ。逆恨みしたポンコツの兄弟三人に追われるはめになり、元嫁ペギーが住む町へ行くことにしたのであった。
ゆっくりウイスキーも飲めやしねえ。なのでリンゴはやり直したかったのである↓
身勝手な男だ。勝手にふらふらしておいて、10年近く放っておいたくせに、と、思わないでもない。
で、タイトルから想像するにピストルを撃ちまくるのか?そうなのか?となるのだが、違うのであった。撃ちまくらないのであった。帰ってきたリンゴはとりあえず酒場に落ち着くのだが、映画終了までほとんどここにいるだけである。一回、保安官事務所に行くだけである。
旧友のマークと再会。保安官マークとしては町での騒ぎは御免だ↓
所在なく佇むリンゴ。西部一のガンマンには見えないよ↓
実際、リンゴが銃を撃つシーンはあまりないのである。ほとんど酒場で、元嫁に会いたいよー、ペギーに会いたいよーとほざいて友人のマーク保安官を困らせるばかりである。リンゴをよく知らぬ戯け者が、大したことなさそうだよ、などと失礼なことをぬかすのだが、ホントに大したことなさそうだよ。
リンゴに頼まれてペギーを説得に行くマーク。でもペギーは↓
ぽさっとしてるだけなのに、生ゴミ以下のようなハントにからまれるリンゴ↓
この西部劇は西部一のガンマンとして生きていくことに疲れきった、殺しの螺旋から降りてしまいたいリンゴを描いているというわけだ。なんだ、するってえと疲弊したオッサンの話か。そう言われると否定はできないが、実におもしろいのである。見て損はない。
気になるのはラストである。ラスト、馬で駆けていくのは誰なのか。素直に見ればハントという男なのだが、まったく違う見方もできるのである。「シェーン」の逆だな。
それじゃあ読者諸君、毎日は愉しいだけじゃない。哀しいだけじゃない。では失敬。