片手にドーナツ、心に花束

西部劇、マカロニウエスタン、ときどきアメコミ。

【新・さすらいの用心棒】

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Amico, stammi lontano almeno un palmo

1972年。監督ミケーレ・ルーポ。主演ジュリアーノ・ジェンマ。音楽ジャンニ・フェリオ。

ジェンマのマカロニを見ると元気になるのであった。いつだってそうなのであった。今回もそのようになったのであった。当然のごとく「さすらいの用心棒」とは関係ないし、用心棒じゃないし。でもいいのであった。今では「ベン&チャーリー」という白バイ野郎みたいなダサい副題がついているが、それはまあ、いいじゃないか。監督は「南から来た用心棒」の人だ。

で、こんな話さ。
刑務所を出所した詐欺師のベンは、待ち構えていた相棒のチャーリーに絶交されてしまうが、結局は再会して勢いで銀行強盗をしてしまう。さらに賞金首の連中と組んで悪事を拡大していくのだが。

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映画「新・さすらいの用心棒」より
ぺんぺろぴー、って飄々としたジェンマは最高である。ひたすらチャーリーをイラっとさせるのにやはりカッコいいのである。独断で銀行強盗を実行したベンの巻き沿いをくらったチャーリー。もうアカンわあ、無理やわあ、何度もそうなるチャーリーなのだが、結局は腐れ縁でバディを組むのである。夢見がちに一攫千金を狙うベンと堅実に悪事を働くチャーリーのコンビにふわっとなります。
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映画「新・さすらいの用心棒」より
この二人に中途から加わる追加戦士が銀行マンのスミスで、彼がまた、いい。勤務先の銀行で上司からパワハラを受けていて、かなわんなあ、苦しいなあと毎日を嘆いていたところにベン&チャーリーが銀行強盗にやってきてなんやかんやで仲間になるのである。スミスは金勘定が得意なのだが、とにかく普通である。その普通さがマカロニウエスタンの世界においては逆に異彩を放ってくれる。スミスは僕たちだ。ため息だとか、舌打ちだとかで、日々のやりきれなさを独り言のなかに隠している僕たちなのだ。
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映画「新・さすらいの用心棒」より
このまま3人で楽しくやっていけばいいのに、と思うのだが、さらに賞金首3人が加わってしまう。このあたりから曇天模様になってくる。特に賞金首のリーダー格であるスキンヘッドが不穏でならない。遠からず空中分解するね、こいつら、という確信めいた、不思議な悲しさや寂しさを抱えた観賞を強いられるのであった。
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映画「新・さすらいの用心棒」より
それじゃあ読者諸君、毎日は愉しいだけじゃない。哀しいだけじゃない。では失敬。



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