The Black Swan
1942年。監督ヘンリー・キング。主演タイロン・パワー。音楽アルフレッド・ニューマン。
監督のヘンリー・キングは、西部劇ではジェシー・ジェームズものの名作「地獄への道」や「拳銃王」などを撮っている。「地獄への道」の主演は今作と同様にタイロン・パワーだ。
前にも書いたが、やはりこの時代の海賊映画はいい。何も考えずに見ることができる。
時代は17世紀後半。イギリスの大海賊ヘンリー・モーガンは実在の海賊で、いわゆる私掠船の船長というやつで、ようはスペインと戦争状態にあるイギリス国王の許可を得てカリブ海域でスペイン船を襲いまくっていた。だが、イギリスとスペインの間で和平条約が締結されてしまって、もう悪いことしたらあかんで、ってことになってイギリス国王からの恩赦を受けて海賊をやめて、ジャマイカのポート・ロイヤル総督になった(史実では副総督のようだ)。
じゃあ僕が海賊とか一網打尽にしますんで、って権力の犬に成り下がったモーガンは頼もしい右腕のジェイミーを、まずはかつての仲間リーチ討伐に向かわせるのであった。というわけでこのジェイミーが主人公である。
なんかルックスが快傑ゾロみたいだが、実際にタイロン・パワーは快傑ゾロを演じている。古き良き時代の海賊映画の主人公はたいてい洒落ていて海賊らしくない。でもカッコいいからいいのである。ケレン味というやつだ。
さらには映画全体がやたらとカラフルで、なおかつ色が濃い。そこが実に楽しい。blu-rayで見たいなあと強く思わせてくれる。
冒頭から出し惜しみなしのアクションで、とにかく迫力満点である。剣と銃で暴れまわる海賊映画というジャンルは実に贅沢な気がする。
「スターウォーズ」に惹かれるのは、ライトセイバーとブラスターが両立している世界だからではないか。剣と剣が交差するアクションが見たい。銃と銃のガンアクションも見たい。それを叶えてくれるのが海賊映画だ。さらには海賊船という巨大ビークルまで出てくる。
無敵じゃないか。
ところどころに「パイレーツ・オブ・カリビアン」と重なるようなシーンがあり、影響を与えているのかな、なんて思いながら見るのもまた楽しいのだ。
まあ、海賊が海賊を成敗するお話なので爽快感はやや薄めだが、史実に沿っているのでそれはそれでよい。