The Buccaneer
1938年。監督セシル・B・デミル。主演フレデリック・マーチ。音楽ジョージ・アンセイル。
宝箱を掘り当て、地図のような巻物を広げるとタイトルバック。ステキだわ。
時代は1814年、米英戦争、すなわち第2次独立戦争の最中。主人公のジャン・ラフィットはフランス出身の実在の海賊で、アメリカ人になることを望んでいる。
海賊映画、というよりは戦争映画に近い。アメリカ愛に満ちた、アメリカ礼賛の戦争映画である。
祖国を追放されて行き場のない、この地球の屑どもを受け入れてくれたアメリカのために戦う海賊たち。なので、いわゆる普通の海賊映画とはちがう。海賊らしい海での戦いはあまりなく、ハイライトは陸地での戦いである。
船長ラフィットのファッションも、お決まりの海賊ルックではなく、小綺麗な感じである。そもそも船長らしさはあまりなく、ボス感が強い。船長もボスも大差なかろう、と思うかもしれないが、なんか違うのだ。
だが、面白い。
イギリスからの協力要請を受けるかどうかで話し合うシーンでの、アメリカ愛を炸裂させたラフィットの熱い演説が最高である。
当然のことに海賊映画としては物足りない面もあるのだが、たとえば部下のドミニクや、命を助けたオランダ娘のグレッチェンがやたらと魅力的である。特にグレッチェンは登場した瞬間から、もっていかれた、そんな感じである。なんてことはない登場シーンなのだが、完全にやられてしまって、トリコになりました。
ラストは、ああ、そう、彼らはなんだかんだで海賊なんだよねえ、という終わり方で、現実は大きくて固い。でもまあ。そんな感じ。
この映画は、1958年にユル・ブリンナー主演「大海賊」としてリメイクされている。こちらはこちらでまたいつか。