明日会おうよベストな体調で

西部劇、マカロニウエスタン、ときどきアメコミ。

【海賊ブラッド】

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Captain Blood

1935年。監督 マイケル・カーティス。主演エロール・フリン。音楽 エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト。

 

主演のエロール・フリンは西部劇の「壮烈第七騎兵隊」で主役のカスター将軍を演じたハリウッドの剣戟スター。

 

1935年の映画である。

 

古き良き映画、とでもいうのだろうか。古ければよいというわけでもないのだが、この時代の純粋な娯楽映画というのは不純物がなくて、本当に見ていて楽しい。クソみたいな仕事が終わった週末に映画館で束の間の現実逃避をするには完璧な映画だったのではないかと思う。

 


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現在、海賊映画といえば「パイレーツ・オブ・カリビアン」一択になってしまうようだが、本来はそんなことはない。たくさんある。とはいえジャンルとして定着していないような気もするが、海賊映画は西部劇に匹敵する映画ジャンルである。

なので、これからときおり海賊映画を紹介していけたらと思う。

 

そもそも古き良き時代の西部劇というのは、アメリカという国家が抱える(抱えてる自覚はないかもしれないが)黒い歴史から目を背けて嗜む映画であった。でもさ、それってダメじゃないか?とアメリカン・ニューシネマの方々がその歴史を相対化してくれて、目を背けることなく西部劇を楽しめるようになったが、そこには娯楽性は喪失されて、妙に理屈っぽい画像になってしまった一面もあるにはある。どうでもいいが。

 

この、コロナ!コロナ!コロナ!という閉塞した時代では、自由を求めて戦う海賊映画はより輝きを増すのである。という失笑気味の分析。

 


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けっこう理不尽な理由でイギリス国王への反逆罪で捕まり、ポート・ロイヤルで奴隷としてこき使われる医者のブラッド。冗談じゃないよ、と事態の打開を図るわけだが結局のところはゴタゴタに乗じて海賊になるのである。

 

痛快である。

CGを多用した豪華絢爛で迫力に満ちた映像も魅力的だが、1935年の海賊船のセット、舞台の書割のような町のセットで繰り広げられる冒険活劇にもやたらと惹かれる。人生詰んでる連中の大逆転劇で、とにかく爽快である。

 

エロール・フリンとオリヴィア・デ・ハヴィランドの爽やかすぎる主演二人。典型的な美男美女の二人だが、それがいい。この二人は他にも「ロビンフッドの冒険」や「カンザス騎兵隊」、「壮烈第七騎兵隊」などでもコンビを組んでいる。ちなみにオリヴィア・デ・ハヴィランドは東京都港区生まれだそうだ。しかも104歳まで生きた。

 

船上での剣戟アクション、船から火を吹く大砲、船員に指示を出すキャプテン!好きよキャプテン!どれもカッコいい。特に劇中でありながら、まるで予告編かのように、Blood ! Blood!Blood!と画面に活字が映し出されて、ブラッド船長の活躍を小気味よくまとめてくれた演出は最高である。今では絶対にやらないだろうな。

 

ガンアクションもいいが、剣で戦うアクションはやはりいいものだ。日本のチャンバラ、「スターウォーズ」のライトセイバーなどは胸が躍る。

 

海賊映画というのは自由を求め、魂を解放する映画である。日々の暮らしに疲れたり嫌気がさしたり、大きな船に乗って海に出たいなと思ったりしているときには最適である。

 

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