THE TIN STAR
1957年。監督アンソニー・マン。主演ヘンリー・フォンダ。音楽エルマー・バーンスタイン。
Tin Starとは保安官バッヂのことらしい。
なるほどね。監督はアンソニー・マンである。そして主役は信頼の安定感を誇るヘンリー・フォンダ。西部劇で堅物からアウトロー、だめんずまで何でもこなす男。おもしろくないわけがない。というわけでやはり、おもしろいのであった。
で、こんな話さ。
賞金稼ぎモーグは賞金を頂くために訪れた町で若い保安官ベンと出会う。モーグは元保安官で、生真面目だがいろいろと頼りないベンを指導していくのであった。
若い保安官ベンは地方公務員みたいに堅物なのであった。賞金稼ぎのモーグが、賞金首をぶち殺してきたよー、って賞金を頂くためにやってきても、死体が賞金首であることを確認するまでは支給できませんと堅いことを言うのであった。
ベンは堅くて生真面目だがどこか頼りない。保安官事務所でガンプレイの練習に勤しむ始末だ。
つうことでモーグは賞金をもらうまで町に滞在することにしたのだが、なんだか町民どもは冷たい。ホテルもそんなわけないのに満室だとかぬかしやがる。西部の町には時々こんなアウトローお断り、みたいな保守的な町がある。
アメリカっぽいといえばアメリカっぽい。「イージーライダー」にもそんな町がでてきたね。
結局は知り合ったばかりの町外れに住むキップという少年の家に泊めてもらうことになったモーグ。キップの母親ノナはシングルマザーで、ネイティブの旦那を亡くしていたのである。
賞金首の賞金支給待ちの賞金稼ぎを安易に泊めるのもどうかと思うのだが。
まだかなまだかなー、僕の賞金まだかなー、などと暇なモーグはミリーというベンのカノジョと町民の信頼厚いマコード医師のどうでもいいヤリトリを聞かされるのである。隙だから。
マコード医師はベンとミリーに早く結婚してほしいと思っているが、自身の父親もかつて保安官をしていて、結果殺されてしまったミリーはベンが保安官をつづけるかぎり結婚せえへん、とかなんとか言ってるのだった。
若者の恋バナを聞かされる賞金稼ぎもなかなか珍しい。さすがヘンリー・フォンダである。
保守的な町のわりにはボガータスというめんどうな男もいて、そのボガータスはモーグが殺した賞金首の親戚なのであった。
まだかな、まだかなーと賞金支給を待つモーグだが、ベンとボガータスの揉め事に自ら介入してしまって、ベンの頼りなさを目の当たりにしてしまって、早く賞金欲しいなあ、と思うがなかなもらえない。
モーグは元保安官であった。
というわけで正義感はあるがイロイロと頼りないベンはモーグに弟子入り志願するのである。マスターとパダワンとなった二人がやいのやいのしてると駅馬車強盗事件が発生し、犯人の捜索隊が結成されたのだが、モーグは参加を拒否した。
そのせいかどうか、捜索は失敗に終わりメンバーは虚しく戻ってきたのである。そんな状況で町を挙げてマコード医師の誕生会パーリーを敢行するのだが、マコードは駅馬車強盗犯に殺されてしまうのである。犯人は町外れに住む兄弟で今度こそはとまた捜索隊が出陣するのであった。
とりあえずヘンリー・フォンダという時点で間違いはない。
なんやかんやで若いベンを急ピッチで育て上げ、なんやかんやでフォローし、なんやかんやで後家であるノナとできてしまうのである。
おいしいね。
さらに、駅馬車強盗犯である兄弟の兄は売れてない頃の、覚醒前夜のリー・ヴァン・クリーフで、マカロニで見出だされてからのキレはまだない。かなり残念な感じの兄である。
隠れてるとこを煙で燻され、うひゃー、って逃げ出す間抜けな兄である。そんなところもまた楽しいのだが、とにかく安定感のある王道のウエスタンなのであった。
それじゃあ読者諸君、毎日は愉しいだけじゃない、哀しいだけじゃない。
↓同監督による名作↓
↓ヘンリー・フォンダ主演のO.K牧場映画↓