TESTA T'AMMAZZO, CROCE...SEI MORTE...MI CHIMANO ALLELUJA
1970年。監督アンソニー・アスコット。主演ジョージ・ヒルトン。音楽ステッレヴィオ・チプリアーニ。
陽気なメロディーにのって革命の歌が流れ、いきなりメキシコの革命軍と政府軍の銃撃戦である。冒頭で目玉であるミシンガンが炸裂する。ミシンガン、文字通りミシン型のマシンガンである。といっても、こんなのは序の口なのであった。
で、こんな話さ。
メキシコ革命軍に雇われた主人公ハレルヤが革命資金調達のために政府軍の宝石を強奪しようとするが、そこへ目的を同じくした悪党一味、怪しいシスター、自称ロシア皇帝の息子などが現れてかなりのカオス状態になっていく。で、政府軍の宝石は誰が持っていますのん?っていうのが話の筋。ほぼそれだけ。で、あんたは敵なん?味方なん?ってなって、騙されたり裏切られたり米露が同盟を組んだりして話は進む。
主人公ハレルヤは安定のB級イケメン、マカロニウエスタン的イケメンのジョージ・ヒルトン。「真昼の用心棒」の酔いどれ兄貴だ。「よう旦那!」のお兄さんだ。ジェントルマン殺法のアニキだ。でも今回のヒルトン演じるハレルヤはあまりジェントルマンではないのであった。敵一味に下剤入りの食事を食わせるという暴挙に出たりするのだ。いいね!
追加戦士の自称ロシア皇子は人造人間キカイダーみたいにギターで、いやバラライカでメロディを奏でながら登場するのである。いいね!どこかデビッド・ボウイに似てる気もする。いいね!もちろんバラライカは仕込み銃という入念さだ。いいね!水責めにあっていたのにいきなりコサックダンスを踊りだしたりもする。いいね!としか言えないじゃないか。シスターは必要以上に美形で、太股を露にして電柱によじ登り、悪党は驚くほどに残念な連中で、ラストにはまたミシンガンが炸裂する。いいね!
唐突に聖遺物が出てきたかと思うとすぐに忘れ去られたり、すべてが行き当たりばったりな印象は否めないが、それもまた悪くない場合もある。きっちりと計算され尽くした映画もいいが、色んな意味で、先が見えない映画もいい。胸がドキドキ、するわけではないが、石川淳の短編小説みたいでいいじゃないですか。よくわからんが。
↓ジョージ・ヒルトンがフランコ・ネロの兄貴!
それじゃあ読者諸君、毎日は愉しいだけじゃない。哀しいだけじゃない。では失敬。