SABATA
1969年。監督フランク・クレイマー。主演リー・ヴァン・クリーフ。音楽マルチェロ・ジョンビーニ。
リー・ヴァン・クリーフだ。それだけでとりあえずは、よし。邦題もケレン味があっていい。悪人伝!というほどの悪人ではないサバタだが、タイトルとはそういうものだ。とにかくリー・ヴァン・クリーフを満喫したい!という紳士淑女にオススメである。
で、こんな話さ。
悪人づらしたサバタが悪がはびこる町で悪人を脅迫して金を巻き上げようと奮闘するのである。
ドハティという町にサバタがやってきたのであった。何をしにやってきたのかはよくわからないが酒場でサイコロのイカサマを見破ったりしてただ者ではない雰囲気をさらけ出すのであった。
たまたまそこで銀行の10万ドルが入った金庫を金庫ごと強奪するという無茶な事件が発生し、いち早く勘づいたサバタは盗人たちを追跡し、えいや、えいやと金庫を回収するのである。
このあたりのサバタの嗅覚がやはりサバタもまた悪人だと思わせる。だがこの事件、なんかおかしくね?と怪しんだサバタ、やはり悪い男サバタはすぐに黒幕が町の有力者であるステンゲル男爵ら三人であることを暴いてしまうのであった。
脅した。
ばらされたくなかったら金よこせや、とステンゲル、ファーガスン、オハラ判事らを脅迫するサバタ。もちろんステンゲルらも、りょ、なんて素直に応じるわけもなく刺客を放ってサバタを抹殺しようとするのである。
サバタはサバタで町で舎弟にしたカリンチャやネコとともに刺客を返り討ちにしていくが、ステンゲルらも、いやちょっと、とか言ってなんやかんやで金を払わずどうにかしようとして、そのたびにサバタは、じゃあ、って要求額を上げていくのであった。そんな感じなので、サバタたちとステンゲルたちの刺客との戦いがつづくだけなので単調である。
サバタは当然のことに、脇を固める男たちのキャラが濃い。立ってる。サバタにすり寄るカリンチャのバディであるネコ。一言も声を発しないのだが、身軽に屋根を飛び回りサバタの指示を黙々とこなし大活躍である。
さらにバンジョー片手に町をうろつく謎の男、その名もバンジョー。わかりやすい名前だが行動は謎めいたバンジョー。
武器もまたバンジョーだから合格。
そして敵のボス・西部貴族ことステンゲル男爵も怪しさ全開である。
西部の町でひとり貴族みたいな格好をして浮きまくってる愉快な男爵である。あしゅら男爵といい岩石男爵といい、やはり男爵は悪でなくてはいけない。いや、悪は男爵でなくてはいけない。と思ってしまうくらいの素敵なボスである。
最後は惜しみなくダイナマイトを爆発させたり、数々のガジェットも真面目に不真面目で最高なのであった。
リー・ヴァン・クリーフだけでも大満足なのだが、もうそれだけじゃない。なのに意外とあっさりしている。たぶん、ストーリーが単調だからだろう。
でも、そんなことはいいじゃないか。
最後にもう一度言うけど、リー・ヴァン・クリーフを満喫したいアウト・オブ・サークルな、空っぽの世界を生きる僕らに絶対オススメ。僕が僕にオススメ。
それじゃあ読者諸君、俺たちは哀しいだけじゃない。愉しいだけじゃない。では失敬。