THE PROUD ONES
1956年。監督ロバート・D・ウェッブ。主演ロバート・ライアン。音楽ライオネル・ニューマン。
王道中の王道西部劇。たまりませんな。
ああ、僕もこのように生きていきたい、誇らしく生きていきたい。などと思うがそうはいかない。
ずるいことをしたり、苦しいことから逃げたり、すぐ隠れたり、手のひらから輝けるものがこぼれ落ちていく毎日である。
ぼくと違って、そんな日々、恥辱にまみれた日々を拒否して誇り高く生きる保安官は「ワイルド・バンチ」で素晴らしいラストを見せてくれたロバート・ライアンだ。紹介としては逆だが。
で、こんな話さ。
テキサスから大量の食用牛が運び込まれ、カウボーイたちで賑わうフラットロックはお祭り状態。
好景気に沸くこの町で荒稼ぎしようとバレットとかいう面倒な男が酒場をオープンし、これに便乗して物価も倍になったりして、なんか嫌だなあ、町が荒れるよなあ、という保安官キャスの危惧どおり町は不道徳な空気が蔓延していくのであった。
これはいかん、とすぐさまキャスが危険を感じたのは酒場を新規オープンしたバレット、このバレットとキャスは過去に因縁があるからなのであった。
キャスはかつてキーストンという町で保安官をしていて、そこでめんどくせえバレットと争いになり、命の危険を感じたカノジョのサリーによって強制的に町を出されたのである。なのに、またバレットと争うはめになったというわけだ。
さらには町にやってきたカウボーイの中にサッドというイケメンがいて、このイケメンはキーストンでキャスにパパを殺された過去があるのだった。しかもサッドはキャスが徒手空拳のパパを拳銃でブチ殺したと思い込んでいた。そんなわけないのに。
盆と正月が一緒にやってきた、みたいな、感じ。うれしくないけど。
キャスがバレットの手下を逮捕すると、ちくしょうめ!ってなったバレットがキャスに報復したりして、負の連鎖が起こり、なんか怖いわぁ、死にたないわあ、ってなった保安官助手が辞めてしまい、後釜として憎まれてるサッドを雇うのだった。
悪いのは君のパパなんだよ、君のパパは人間の屑なんだよ、とキャスは諭すがサッドは納得したのかしないのか。まあパパがそんなんでした、とは受け入れがたい。普通は。
だが、キャスのもとで働いてるうちにサッドは、この人は卑怯な男ではないのかもしれないなあと考えを改めていく。でもパパがバレットの手下で、ろくでなしだった現実を受け入れざるを得ず、辛いのだった。
どうでもいいが、二丁拳銃がこうも似合わないのもすごい。コントみたいな動きである。
かつて、逃げるようにしてキーストンを出たことを悔いているキャス。もう僕は逃げない。バレットをぶっ潰す。町全体がバレットに追従するなかでそう宣言するのである。
欲望に負けて、法も秩序も知ったことか、ってなっていった町の有力者たちに、お前らこそがクソじゃ!とキャスは毒づくのだ。
男ってやつじゃないか。最終決戦ではサッドも立派なバディとなり大活躍である。サッドもまた誇り高き男なのであった。ていうか、バレットごときにそこまでビビらなくてもいいのでは、と思わないでもないのだが、とにかくこれでもかと、男の矜持を存分に堪能することができる。最高の西部劇なのであった。
それじゃあ読者諸君、日々は愉しいだけじゃない。哀しいだけじゃない。では失敬。