片手にドーナツ、心に花束

西部劇、マカロニウエスタン、ときどきアメコミ。

【荒野の決闘】


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My Darling Clementine

1946年。監督ジョン・フォード。主演ヘンリー・フォンダ。リンダ・ダーネル。音楽シリル・モックリッジ。

巨匠ジョン・フォードの「駅馬車」に次ぐ西部劇なのであった。

いわゆる「OK牧場の決闘」をモチーフにした作品だが、史実とはかけ離れた作品になっている。派手な銃撃戦もラストの決闘だけで、あとは静かに穏やかに丁寧に、西部の町の日常を描いているのだが、それが実にいいのであった。

で、こんな話さ。
キャトルドライブ中のアープ四兄弟は中途で立ち寄ったトゥームストーンの町外れにおいて、末弟のジェームズを殺され、牛を盗まれてしまうのだった。犯人ぶっ殺す、とワイアット・アープは町の保安官になるのだが、犯人探しをしつつも、町でドク・ホリデイと奇妙な友情を育み、ウィスキーを飲んだり芝居を見たりトランプをするのだった。

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映画「荒野の決闘」より

 

髭でも剃ろうよ、ってトゥームストーンに立ち寄る導入部がなんかいい。町は悪がまかり通っていて、保安官もチョー弱腰で、すなわちとても面倒な町で、という西部劇では鉄板の非道な町。

弟殺しの犯人はクラントン一家でしょ、とまあ目星はついているのだが、証拠はなく手も出せずワイアットはふわっとトゥームストーンでヴァカンスのように過ごすのである。西部劇の王道の復讐劇なのだが、ジョン・フォード監督は西部開拓時代の日常をゆったりと描写している。酒場、ポーカー、ダンパ、恋したりだとか好きだとか。

そんで、ドクの元カノであるクレメンタインの登場によって状況は切り裂かれるのである。

惚れてもうた。

ワイアット・アープはドキドキするのであった。でも彼女はドクの元カノだし、彼女も俺のこと好きなんじゃね?なんて思ったりもするけど勘違いじゃね?とも思うんだ。

なんだろう?このキモチ。

そう思うだけで、なにもできないワイアット・アープなのであった。

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映画「荒野の決闘」より

 

最後はクラントン一家とOK牧場で決闘となるわけだが、もちろん勝つのだが、再びトゥームストーンに平和がやってくるわけだが、それは多数の犠牲者の上に成り立っている平和なのだった。日常描写がゆったりとしていることで、よりその現実が輪郭を鮮明にしているのである。

すべてが終わり、生き残ったアープ兄弟二人はトゥームストーンを去るのだが、クレメンタインは教師として町に残ることになった。

別れ際、「わたしは、クレメンタインという名前が大好きです」と控えめに恋心を伝えるワイアット・アープに赤面して幕は閉じる。西部劇が西部劇であった頃の素晴らしい映画なのであった。

それじゃあ読者諸君、毎日は愉しいだけじゃない。哀しいだけじゃない。では失敬。