WINCHESTER'73
1950年。監督アンソニー・マン。主演ジェームズ・スチュワート。音楽ジョセフ・ガージェンソン。
落ち着きのないウィンチェスター銃を追いかけるので、ジェームズ・スチュワート演じる主人公リン・マカダムが、やや放置プレイになってしまうのがおもしろい。
というか、主人公はウィンチェスター銃なのだ。
ウィンチェスター銃の運命を縦軸に据え、横軸にリン・マカダムの復讐劇を配置しているというわけなのだ。
で、こんな話さ。
主人公の男リンの復讐劇に、数奇な運命を辿るウィンチェスター銃が絡まりながら話は進んでいくのである。
リンは仇敵の男を追ってやってきたドッジシティで射撃大会に参加するのだが、それは賞品の名銃、千に一つの名銃とされるウィンチェスター目当てに仇敵の男が参加するんじゃね?とのことで参加したのである。
で、いた。
仇敵ダッチはやはりいた。いたわけだが射撃大会でのリンの射撃テクが凄い。神業である。ここですでにきゃってなります。だがすぐにぐだぐたになるのが面白い。リンは名銃をゲット!するのだが、すぐに奪われてしもうた。である。
その後ウィンチェスターは様々な人の手に渡っていく。ネイティブの男がゲットしたときにはネイティブは騎兵隊と交戦中で、そこにスティーブ、ローラの結婚前提カップルとリンたちが居合わせるのだった。
スティーブとリンたちは騎兵隊に協力してネイティブを撃退、族長が落としていったウィンチェスターを今度はスティーブがなんやかんやで頂戴するのであった。
なんでだよ。
千に一つの名銃を手にしたスティーブなわけだが、こいつは実はかなりのヘタレで、ウエスタン定番のヘタレで、ネイティブに襲われそうになったときもローラを放置して助けを呼びにいった・逃げたのである。一応戻ってきたけど。
ローラは、うわ、無理やわ、こんなヘタレとは無理やわとスティーブとの関係が冷めてしまったことに気づくのだった。
やはり西部の男は強くて逞しくなくてはいけないのだ。
ヘタレのスティーブはヘタレなだけあって悪い仲間のパシりみたいになっていて、悪い仲間のキッド一味がローラとの新居に押し掛けてきてもどうすることもできず、挙げ句に殺されてしまうのである。
当然のことにウィンチェスターもキッドのものになった。キッドはローラを連れて銀行襲撃のためのアジトに向かうが、そこで合流したのがダッチたちなのであった。
あ、ってダッチは思った。
それって、ぼくのウィンチェスター・・・、って思った。
もちろんキッドがウィンチェスターを渡すわけもないのだが、銀行襲撃が失敗してキッドが死んだことでウィンチェスターは再びダッチのものになるという流転の運命。
ここでリンとハイスペードが追いつくのである。そしてリンとダッチの最終決戦なのであった。
2つのストーリーを交錯させていくことでぐいぐいと引っ張られていく。エピソードの羅列にはならないのだ。
主人公なので当たり前なのだが、リンがおいしいとこどりである。でも、友人として、ただそれだけで危険も顧みず不平を口にすることもなくリンに同行していたハイスペード、彼こそ西部の男というやつじゃないか。
実は一番カッコいいのはハイスペードなのであった。
それじゃあ読者諸君、日々は愉しいだけじゃない。哀しいだけじゃない。では失敬。