片手にドーナツ、心に花束

西部劇、マカロニウエスタン、ときどきアメコミ。

【荒野の一つ星】


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WANTED

1968年。監督カルヴィン・J・バジェット。主演ジュリアーノ・ジェンマ。音楽ジャンニ・フェリオ。

ジェンマである。貴公子である。マカロニの貴公子と呼ばれるジュリアーノ・ジェンマである。

マカロニといえばイーストウッド、フランコ・ネロ、そしてジェンマといわれている。とりわけマカロニ好事家の間ではフランコ・ネロが「ネロ兄ぃ」などと呼ばれて慕われているようだ。でも僕はジェンマが好きなんだ。マカロニの大スターなのにマカロニらしくないスマートで小綺麗なスタイル。運動神経抜群でアクションもキレキレだ。マカロニ隆盛の時期には日本でもエンジェル・フェイスと呼ばれて大人気だったそうな。特に女子に。

相変わらずのいい加減な邦題で、何が「一つ星」なのかわからないが、マカロニでは珍しい保安官ゲイリー・ライアンが主役だからなのか、まあそんなことはどうでもいいのであっだが、ジェンマに外れなし!である。

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映画「荒野の一つ星」より

で、こんな話さ。

グリーンフィールド、って町の保安官に就任したゲイリーは悪行が露見したら困る方々や嫉妬する能無しの策略で殺人の罪を着せられてしまう。どうにか脱獄したゲイリーは町の不正を暴くために奔走するのであった。

さすらいのギャンブラー・マーティの存在感がいい。無実の罪を被らされたゲイリーを助けるギャンブラーなのだが、とってもいい奴なのだ。

ギャンブラーなのにゲイリーのため・正義のために奔走するナイス・ガイだ。ギャンブラーらしい描写が物足りないのは残念だが、なんかいいのであった。

↓左端の男がマーティンね↓

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映画「荒野の一つ星」より

罠に嵌めた連中に対する復讐劇、というか冤罪を晴らすために、ジャスティスのためにゲイリーは闘うわけだが、ジェンマが主役ということもあり、またマーティなどの支援もあって孤立無援ではないので陰惨で悲壮な雰囲気はない。

ジェンマにはあまりに過酷で悲惨な運命は似合わない。ほどほどで、いいのだ。

だから障害はあるものの、けっこうスムーズに事は運ぶ。呪詛を唱えるかのようなウォンテーッ、ウォンテーッ、というテーマ曲だけが陰鬱だ。

つまり、マカロニらしさが希薄なマカロニウエスタンなのだ。正統派ハリウッドウエスタンに近い。マカロニウエスタンがハリウッドウエスタンに対する憧憬から出発しているのであれば、マカロニにおいてハリウッド的な作品・俳優の存在は当然なわけだ。

最後は悪い奴らのグダグダ感がすさまじく、あっさり悪事が露見するのだが、そこからはジェンマのガンファイトが堪能できる。個人的には、ジェンマが現れたことで保安官になりそこねて、なんかそこから最後までぐだぐだで終わったロイドが憎めない。

↓どうもー、なんつって市長から保安官に任命されるもジェンマにもってかれるロイド。↓

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映画「荒野の一つ星」より

↓やっぴー、なんつってジェンマを捕縛し揚々と帰還するのだが、この後すぐに人生終了となるロイド。↓

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映画「荒野の一つ少し」より

↓結局ジェンマにボコられるロイド。ラストは泥んこデスマッチのロイド。↓

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映画「荒野の一つ星」より

とにかくロイドが憎めないのであった。清々しいマカロニである。正義は勝つ、っていうわかりやすいマカロニもまたいいもんだよな。

それじゃあ読者諸君、俺たちは愉しいだけじゃない。哀しいだけじゃない。では失敬。