ARIZONA COLT
1966年。監督ミケーレ・ルーポ。主演ジュリアーノ・ジェンマ。音楽フランチェスコ・デ・マージ。
ジェンマだ。我らのジェンマだ。でも今回のジェンマはちょっと違う。いつもと違う。金次第で何でもやってくれるが、足元を見てくるから厄介だ。ポーカーでイカサマもやる。でもすぐバレる。バレても平然と爽やかなところは、さすがジェンマだ。
で、こんな話さ。
悪党どもの刑務所襲撃のおかげで脱獄できたアリゾナは、ふらりと立ち寄った町グレイストーン・ヒルの危機をおどけた佇まいで救うのである。
唐突な刑務所襲撃がなんだなんだと訳がわからないのはジェンマ演じるアリゾナ・コルトも我々も同じだ。襲撃は特定の誰かを救出するために敢行されたわけではなく、誰でもいいから悪い連中を脱獄させて半ば強制的に一味に入れてしまおうという、悪党ゴードンの計画であった。
なかなか無茶苦茶なことをする悪党どもだ。実にマカロニだ。おかげさまでアリゾナは爽やかに脱獄することができたというわけだ。
で、当然のことにアリゾナ・コルトも勧誘されるのだが、断る!そのあと追いかけてきた一味の男たちを返り討ちするのだが、木に登って枝に足をかけて鉄棒みたいに回転して飛び降りて射殺する。そんなことスタントなしで出来るマカロニ選手はジェンマしかいません!でも、カッコつけるのはいいが、ジェンマは下着姿なのであった。西部開拓時代の下着は肌着と股引きが一体化したような、かなりカッコ悪いものだった。でもそこはジェンマだからいいのだった。悪い奴なのに悪い奴に徹しきれない、そんな感じの今回のジェンマ。
アリゾナがやってきたのはグレイストーン・ヒルという町。この町にビジネスでやってきた風を装い実は銀行強盗の下見をしているクレイは、ゴードン一味なのであった。クレイの素性に気づいてしまった酒場の娘が殺されてしまい、娘のパパはジェンマに敵討ちを依頼するのであった。
そこでジェンマは法外な額をふっかけるがパパは出せない。
するとジェンマはパパのもう一人の娘ジェーンによからぬ要求するのである。悪い男だ。爽やかに悪い奴なのだ。パパは猛反発だが、娘は承諾する。でも結局はなにもしない。やろうとするがやらない。さすがジェンマだ。
↓人から強奪した服をきて、平然と爽やかに振る舞うアリゾナ。右斜め後ろの男が服を奪われたけど泣き寝入りするしかなかった男↓
まあ、きっちり仕事はこなしたが自身も重傷を負うアリゾナ。そこを、刑務所襲撃のときから腐れ縁となったゴードン一味のウイスキーに助けられる。義理堅い男であった。で、最後は二人で協力してゴードン一味を壊滅させる。やはりいい奴なジェンマだった。なんだかんだでアリゾナに恋したジェーンをするりとかわし、颯爽と町を去るジェンマ。爽やかなチョイ悪用心棒、そんなジェンマ。でもやはり相変わらずのジェンマ。
それじゃあ読者諸君、毎日は愉しいだけじゃない。哀しいだけじゃない。では失敬。