片手にドーナツ、心に花束

西部劇、マカロニウエスタン、ときどきアメコミ。

【怒りの荒野】


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I GIORNI DELL´IRA

1967年。監督トニーノ・ヴァレリ。主演リー・ヴァン・クリーフ、ジュリアーノ・ジェンマ。音楽リズ・オルトラーニ。

ジェンマVSクリーフ。夢のような対決なのであった。マジンガーZ対デビルマンみたいじゃないか。

↓オープニングからもうメチャクチャかっこいいのである↓

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映画「怒りの荒野」より

「ガンマン十ヶ条」で知られたマカロニウエスタンなのであった。日本なら「ウルトラ五つの誓い」といったところだ。腹ペコのまま銃を抜かない、とかそんな感じだ。

嘘だ。でもまあ、そんなことより、ジェンマだ。我らがジュリアーノ・ジェンマだ。わっしょい、わっしょい。

で、こんな話さ。

いわれなき差別思想によって町でぼろ雑巾のような扱いを受けるスコットだが、ガンマンのタルビーと出会ったことで人生を大きく変えることになる。

 

って、いきなりジェンマは汚い格好で糞尿を運搬しているという、なかなかショッキングな登場である。オープニングがカッコいいだけに震えが止まらない。ジェンマ女子の悲鳴が隣街からも聞こえてくるのであった。この世界の構造を切り裂くような悲鳴が聞こえてくるのであった。

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映画「怒りの荒野」より

でもマカロニ男子からすれば、リー・ヴァン・クリーフとジェンマの共演という夢のような配役に、これはこれで悲鳴をあげても致し方ないことだと思わないか?なあ、生徒諸君。うん。

というわけでジェンマ演じるスコットは娼婦の子で、清掃人で、街の連中からは蔑まれた日々を送っていた。その蔑まれかたもかなりモーレツである。スコットは共に馬小屋で暮らしているマーフに銃の撃ち方を教わっていて、ガンマンになることを夢見ている。

でも銃はもってないので木製のオモチャで早撃ちの練習をしている。これがけっこう滑稽である。いい大人なのに。少し足りないのか、と思わないでもないが、どうやら違うようだ。とりあえず、温かい目で見てあげよう。ていうか、スタートダッシュが凄すぎるじゃないですか。

そんなスコットに、ふわっと現れたタルビーは何故かやさしい。こいつは使える、と直感的に感じたのか、ただの気紛れか、とにかくやさしいのであった。

スコットへのやさしさゆえにタルビーは酒場で街の男を撃ち殺すことになり、まあ正当防衛なので無罪放免になったんだけど、居ずらいわあ、って街を去る。原因がスコットだったのでスコットもまた、居ずらいわあ、ってなってタルビーを追いかけて街を出る。

そこで二人は師弟関係となってスコットは「ガンマン十戒」を教授されていくというわけだ。

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映画「怒りの荒野」より

スコットはタルビーに銃と服を買い与えられるのだが、そこでの変身は最高である。待ってました!俺たちのジェンマ!昨日までのズボンはもう穿けねえ、って掃除人スコットは死亡し、新しくガンマンとして人間の尊厳を奪還していくのだ。

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映画「怒りの荒野」より

まあスコットとしては、もうこれで人間として扱われる、愚鈍呼ばわりはさせねえ、よし、となるのでそれで満足なのだが、タルビーは違ったわけである。やはり単なるいい人ではなかったのである。

街の権力者を脅し・殺して、趣味の悪い酒場をオープンして街の実効支配を目論んでいたのだった。

だんだんと、あれ?ってなっていくスコットではあるが恩人だし、シャツとか買ってもらったし、十ヶ条とか教えてもらったし、などとモヤモヤしながらもタルビーに追従していくのであった。

恩人のマーフに、反抗期の中学生みたいにたてつくスコット。町の権力者の、タルビーを追放しようぜ、っていう誘いも断固として拒否するのであった。でも結局は対峙することになるのである。

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映画「怒りの荒野」より

ジェンマ好き好きなぼくだけど、ここではやはりリー・ヴァン・クリーフが良すぎる。ゾクゾクするほどクールでニヒルな演技に身悶えすることうけあいだ。

アメリカ公開版のポスターなどではジェンマの存在なんぞは抹消されていて、完全にクリーフ推しのデザインになってる。わからないでもないが、やはりジェンマ派としては見過ごせない事態ではある。

それじゃあ読者諸君、毎日は愉しいだけじゃない。哀しいだけじゃない。では失敬。