UN UOMO CHIAMATO APOCALISSE JOE
1970年。監督レオポルド・サヴォーナ。主演アンソニー・ステファン。音楽ブルーノ・ニコライ。
マカロニ第四の男と呼ばれるアンソニー。だが、その他の三人と共にマカロニ四天王と呼ばれることはない。あくまでも第四の男だ。なんとなくわかる気がするのであった。
↓いきなりドクロを抱えて「生きるべきか死ぬべきか」などとほざくジョー
シェイクスピアに憧れる俳優志望ガンマンという意味不明の主人公ジョー。
いつまでもモラトリアムな生活態度をあらためることなく、いい歳して叔母にたしなめられるだらしのないジョー。
でも死んだ叔父の金鉱の相続権を得たラッキーなジョー。
でも凄腕ガンマンのジョー。
俳優志望ということで神父・婆・老人の旅役者などに変装するがどう見てもジョーにしか見えない不器用なジョー。
↓志村けん?みたいなジョー。少なくとも女性に見えない
というふうに、マカロニ魂・B級魂全開の映画である。
で、こんな話さ。
おら役者になるけん、って伯父の金鉱相続を渋るジョーなのだが、とりあえず様子を伺いに行ってみると金鉱は町を牛耳るバーグ一味に横取りされていて、さらには叔父の事故死にも疑念が持ち上がり、金鉱なんざ要らねえ、おら役者になるんじゃ、なんてわがままを言っていたジョーであったが、さすがに悔しいじゃないですか。町に残りバーグ一味をやっつけることにしたのであった。
↓鈴木清順か!というような色使いにアングルが素晴らしい
変装してアル中の床屋のオヤッサンに「おい、俺だ(早く気づけ)」などと声をかけるのだが、きっとオヤッサンはわかっていたに違いない。あ、ジョーだ。すぐに気づいたに違いない。でも空気を読めるオヤッサンは見て見ぬふりをしたのだ。
雰囲気としてはスラッとしていてスマートなジョーだが、あちらこちらでぬけているのが愛くるしいのである。
ラストは30分という長い銃撃戦。マカロニ史上最長だそうだ。だが単に長いだけではない。ところどころでコントのような、ドリフのような演出が挟まれるのだった。
これを許容できるかどうかが、マカロニを受け入れられるかどうかのボーダーラインかもしれない。
最後はバーグ一味を皆殺しにして金鉱を奪還するが、金鉱の管理を床屋のオヤッサンに押しつけてジョーは町を去る。シェイクスピアに会いに行くと言って去っていく。オヤッサンはシェイクスピアを海の向こうのガンマンだと思った。
それじゃあ読者諸君、毎日は愉しいだけじゃない。哀しいだけじゃない。では失敬。