はじめに。
この記事はDCEU、すなわちアメコミ映画であるDC映画に関する記事である。現在公開済みのDCEUを中心にDC映画のことをつらつらと書いているわけだが、最後の「今後のDCEUは?」の章は新情報が入ったり状況に変化が生じるたびに更新していきます。できるだけマメに。うん。
ベン・アフレックの脱退、ジェシー・アイゼンバーグのレックス・ルーサーは?デスストロークは?不透明なことが多すぎて、なんかもう無茶苦茶だよ、って感じのDCEU。どうやらフラッシュを利用して力業で新たな展開に持ち込むようだが、まだまだ憶測に過ぎない。よくわからん。
- そもそもDCEUってなんだ?
- 『マン・オブ・スティール』
- 『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』
- 『スーサイド・スクワッド』
- 『ワンダーウーマン』
- 『ジャスティス・リーグ』
- 『アクアマン』
- 『シャザム!』
- 『ハーレイ・クインの覚醒 バーズ・オブ・プレイ』
- 『ワンダーウーマン1984』
- 今後のDCEUは?
そもそもDCEUってなんだ?
DCEUとはDCコミックのキャラクターが同一世界において活躍する映画シリーズ。まあ、ライバル社マーベルの『アベンジャーズ』等のMCU大ヒットに便乗して、じゃあ僕らも、ってDCとワーナーがはじめたシリーズである。
これまでにスーパーマンやバットマン、コンスタンティン、グリーンランタンなどを単発で映画化してきたが、同一ユニバースとしては描いてこなかった。そこを、あらためて仕切り直し、スーパーマンやバットマンをリブートして再始動したのである。
なので2013年以前のDC映画であるクリストファー・リーブの『スーパーマン』シリーズや、伝説の『ダークナイト』三部作などに触れておく必要はない。繋がりはないので。
というはずであったがそうでもないようだ。今までは繋がりはなかったが、今後は多元宇宙という概念をDCEUに持ち込むことによって、すべてのDC映画が異なる次元で同時に存在することになるようだ。なので全部見たほうがいいかも。
見る順番は、素直に公開順に見ればいいと思う。公開順が時系列になっている。「ワンダーウーマン」は過去に溯っているが冒頭とラストは「バットマンvsスーパーマン」のつづきになっている。
『マン・オブ・スティール』
2013年。監督ザック・スナイダー。主演ヘンリー・カヴィル。音楽ハンス・ジマー。
DCEUの華々しい船出にふさわしいのは、やはりスーパーマン。DCコミックスといえばスーパーマン。いや、スーパーヒーローといえばスーパーマンである。
そんなスーパーマンのリブート作。とにかくスーパーマンのオリジン(起源)を徹底的に描いた。さらに過去の映像化と大きく異なるのはそのトーン。暗い。重い。悩ましい。ここで賛否が別れてしまったのである。
クリプトン星での誕生から地球での成長を丁寧に描き、未熟ながらも同胞であるゾッド将軍らの地球襲撃を阻止するまでをダイナミックに映像化している。
続編のアナウンスは未だ、ない。これからも、ない、かもしれない。
『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』
2016年。監督ザック・スナイダー。主演ベン・アフレック。ヘンリー・カヴィル。音楽ハンス・ジマー。ジャンキーXL。
DCEU第2弾。DCコミックスの2大スターが激突する夢のような映画である。ていうか、2作目でこれをやってしまっていいのか?いきなりクライマックス、という感じである。
前作同様にトーンは暗く、重い。そして長い。ストーリーも重層的な構成で理解しづらい面がある。じっくりと腰を据えて鑑賞すべき映画である。というわけでシリーズ中最も面倒な作品。でも真正面から向き合うことでシリーズ中最も愛すべき映画になるのだ。地球上では比類なき力を持つスーパーマン、超法規的活動をするバットマン、一企業を越えた権力を得ようとするレックス・ルーサー、そしてアメリカ政府、これらの思惑が複雑に交差して、最後は悲劇的な結末を迎えることになる。
スーパーマンとは違い、ダークナイトとしての活動をやめていたバットマンである。ペンギンやジョーカーとの戦いは過去のものであり、サイドキック(相棒)であるロビンは殺されている、という世界である。
とにかく、ワンダーウーマン登場シーンは鳥肌ものである。
『スーサイド・スクワッド』
2016年。監督デヴィッド・エアー。主演ウィル・スミス。音楽スティーブン・プライス。
DCEU第3弾ながら、ストーリー上は前作からの繋がりは薄い。スーサイド・スクワッドことタスクフォースX創設者であるウォラー長官とブルース・ウェインがメタヒューマンの情報交換で繋がっている程度である。
ヴィラン、すなわち悪者たちが主人公である。アメリカ政府に脅されてチームを組まされた悪者たちが世界を救う。ということなので悪者ではあるが、絶対悪として描かれてるのはジョーカーだけで、その他は善と悪の間を揺れ動いている。
前作から数ヵ月後、メタヒューマン対策としてアメリカ政府は非公式にタスクフォースXを組織し、減刑等を条件に悪人たちを危険な任務にあたらせる。隊を束ねるフラッグ大佐に、ヴィランたちは当初は反発しあうが任務を遂行していくうちに結束を高めていく。
チームものだがハーレイ・クインのひとり勝ちである。でも個人的にはヴィラン以上にヴィランぽいアマンダ・ウォラー長官が輝いて見えた。
ちなみにハーレイ・クインはロビン殺しの共犯で捕まっている。
『ワンダーウーマン』
2017年。監督パティ・ジェンキンス。主演ガル・ガドット。音楽ルパート・グレッグソン=ウィリアムズ。
DCEU第4弾にして遂に大ヒット。一枚の写真をめぐってブルースとダイアナの交流が描かれるが、時代は百年ほど過去にさかのぼる。ワンダーウーマンのオリジンに迫る一本である。
クラークやブルースに比べると、閉じた世界セミッシラ島で生きてきたダイアナの天然ぶりが発揮され、暗く、重いDCEUに少しだけ光が射し込まれたのである。脇を固めるチーム・トレバーの面々がとにかくいい。
墜落事故によって外の世界からセミッシラに現れたトレバーと共に、第一次世界大戦を終結させようとするダイアナ。大戦を陰で引き起こしていた黒幕こそ、ダイアナが打倒すべき戦いの神アレスであった。
トレバーの秘書であるエッタ・キャンディをはじめ、サミーアやチャーリー、酋長らの出番がもうないということがとにかく哀しい。
現時点で唯一、続編がすでに製作されている。次回作『ワンダーウーマン1984』は2020年6月公開、予定である。
『ジャスティス・リーグ』
2017年。監督ザック・スナイダー。主演ベン・アフレック。ヘンリー・カヴィル。ガル・ガドット。音楽ダニー・エルフマン。
DCEU第5弾で、オールスター映画。『バットマンVSスーパーマン』で顔見せは済ましているフラッシュ、アクアマン、サイボーグらが本格的に登場。だけじゃない、バットマンには欠かせないゴードン本部長もここで登場。とにかく豪華。
DCEU特有、というかザック・スナイダーのトーンの暗さは『ワンダーウーマン』から影を潜めはじめ、今作でもユーモアが随所に散りばめられ方向性に修正が出始めた。監督の途中降板の影響が一番ではあるが、長すぎず、暗すぎず、重すぎず、という方向に向かいはじめた。
スーパーマンの意志を継ぐバットマンは、チーム結成に奔走する。すでに地球の危機が迫っていたのだ。メタヒューマンではあるもののスーパーヒーローとしては未熟な面々が徐々に自覚をもっていき、未曾有の危機であるステッペンウルフに立ち向かう。
最も続編が望まれている、はずの作品だが最も望み薄な作品。色々と伏線が張られていたが回収できる見込みはない。DCEUは今後、ユニバースとしての繋がりを重要視せず、単独性重視で展開していく、ということになった。ポストクレジットシーンで登場したデスストロークは行き場を見失ってしまった。
とはいえ、せっかくのユニバースなのでヒーロー集合の機会も窺っている、とのこと。でもまあ、今ではないのは確かだ。
『アクアマン』
2018年。監督ジェームズ・ワン。主演ジェイソン・モモア。音楽ルパート・グレッグソン=ウィリアムズ。
DCEU第6弾にしてDC映画過去最高のヒット作となった。意外である。ユニバース作でありながらも単独性を強くした作品なので、他のヒーローは登場しない。
吹っ切れたかのような軽快さと痛快さを併せ持った作品である。あらゆる娯楽映画の要素を詰め込んでいるが、なんの不自然さもなく綺麗にまとまっている。ジェームズ・ワン監督の手腕の凄さである。
ステッペンウルフとの戦いから一年、アクアマンことアーサー・カリーは弟であるオーシャンマスター・オームのアトランティス地上侵攻を食い止める戦いに挑んでいく。
すでに続編の動きはある。ポストクレジットシーンから推察するに、ジャスティスリーグとは別のアクアマンのチーム、ジ・アザーズとブラックマンタの戦いになるのではないか、という見方が有力である。
『シャザム!』
2019年。監督デヴィッド・F・サンドバーグ。音楽ベンジャミン・ウォルフィッシュ。
DCEU第7弾で、やはり『アクアマン』同様に単独性重視の作品なので競演するヒーローはいない。ラストにサプライズゲストが登場するが、ほんの少しだけである。あとは小ネタで同ユニバースであることをアピールしてる。
『ハーレイ・クインの覚醒 バーズ・オブ・プレイ』
2020年。監督キャシー・ヤン。主演マーゴット・ロビー。音楽ダニエル・ベンバートン。
DCEU第8弾。評価は散々だったがハーレイ・クインという新たなアイコンを生みだすことに成功した『スーサイド・スクワッド』からハーレイ・クインだけを取り出したスピンオフとも言える作品。これまでのDCEU作品にはないカラフルでポップな映像に軽妙な語り口、パンキッシュな構成などはDCEUからの解放ともとれる。
『ワンダーウーマン1984』
2017年。監督パティ・ジェンキンス。主演ガル・ガドット。音楽ハンス・ジマー。
DCEU第9弾にして、ヒット作『ワンダーウーマン』の続編。タイトルどおり1984年が舞台となっている。
今後のDCEUは?
今後公開予定の映画。公開日はあくまで予定である。
『ザ・スーサイド・スクワッド』2021年8月
『ザ・バットマン』2021年10月
『ブラックアダム』2021年12月22日
『ザ・フラッシュ』2022年6月3日
『シャザム!2』2022年11月4日
『アクアマン2』2022年12月22日
『ザ・スーサイド・スクワッド』
『ザ・スーサイド・スクワッド』は続編ではなくリブート作になるみたいだが、デッドショット以外の主要キャスト数名は続投のようなので、まったく新たに生まれ変わるわけではなさそうだ。
邦題は『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』に決定した。え?
『ジャスティス・リーグ スナイダーカット版』
幻、というか都市伝説のような存在だった『ジャスティス・リーグ』のスナイダーカット版。遂に公開されることになった。だが劇場公開ではなく、新しい動画配信サービスであるHBO maxにおいて来年配信予定である。劇場公開ではないためか、尺はなんと4時間。どんだけカットして公開したんだ?とても長いので4話構成での配信になるとのこと。HBO maxのサービスが始まっていない国でもなんかしらの手段を考えるとスナイダー監督は仰っている。期待してみよう。
でもスナイダーカットが公開されるからといって、本来の『ジャスティスリーグ』完結編がつくられるわけではない。結局のところもどかしさは残る気がするが。果たして『ザ・フラッシュ』がその鬱屈した気分を解消してくれるのか。
とりあえず「ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット」の邦題で2021年初夏にデジタル配信され、Blu-ray6月25日に発売される。
『ザ・バットマン』
ベン・アフレックの降板で迷走しまくりのバットマンの単独映画『ザ・バットマン』だが、ようやく形が見えてきた。残念ながら『ジョーカー』同様にDCEUからは独立した作品となるようだが、最終的にはどうなるかはわからない。予告編を見ると、フィルムノワール調、もしくは「ブリッジ」などの北欧の刑事ドラマのような空気感で、DCEUには属さない単独映画だが、かなり期待大である。若いバットマン、リドラー、ということでコミックの「ゼロイヤー事件」をベースにしているのかと思ったが、どうなのだろうか。
で、今後もっとも重要な作品になりそうなのが、フラッシュの単独映画となる『ザ・フラッシュ』である。この映画はコミックの『フラッシュポイント』を下敷きにしたものになるのではないかと言われている。かつてDCコミックスは『フラッシュポイント』という作品にてリランチを決行し、新たに「NEW52」シリーズに突入している。
アメコミにおけるリランチとは、ようはリセットである。長きに渡って積み上げられてきたこれまでの設定などを無かったことにして、新規読者が入りやすくするために色々とやり直すことである。どうもこれを映画でやろうとしているようだ。もちろん映画の場合はコケた作品を無かったことにするためである。
『ザ・フラッシュ』によってリセットされそうなのが『マン・オブ・スティール』と『バットマンvsスーパーマン』、『ジャスティスリーグ』ということだ。つまりはザック・スナイダーを無かったことにしようとしているのだ。ベン・アフレックが出演している『スーサイドスクワッド』も消えるのだろうか。ヘンリー・カヴィルのスーパーマンが大好きな者としては哀しすぎる展開である。カヴィル続投でリセット、というのはさすがに期待できないだろうか。できないだろうね。
でもまあ、これでDCEUが継続してくれるなら上を向いた涙なんて鼻で笑おうじゃないか。なんの脈略もなく切られるより新たな映画の設定上で無かったことになるほうがスリリングだ。いや、厳密には無かったことになるわけではない。カヴィルとベン・アフレックのヒーローはどこか違う次元で継続しているのだ。『ザ・フラッシュ』において多元宇宙を描くことで都合が悪いキャラや作品は別次元の世界に行ってもらって。今後のDCEUを構築していく新しい世界をつくることができるわけである。便利だ。『ザ・バットマン』や『ジョーカー』の世界もいつかは参入可能な理屈を提示するわけである。便利だ。
ということでベン・アフレックが『ザ・フラッシュ』にバットマンとして再登場する、らしい。さらにはティム・バートンの『バットマン』でバットマンを演じたマイケル・キートンも再登場とか。なんでもありなのだ。
一人一人がそれぞれの場所で踏ん張るんだ!でも、がんばらない!怠けないこと!
そんな感じで。