SILVERADO
1985年。監督ローレンス・カスタン。主演ケビン・クライン。音楽ブルース・ブルートン。
80年代といえば西部劇なんかはもう過去のジャンルになっていて、誰も見向きもしない、というのは言い過ぎかもしれないが、とにかく終わったジャンルだったようだ。
そんな逆境の状況であえて製作されたわけだから、当然のことに男気に溢れた西部劇、というわけであるよな。
なにはともあれ若き日のケビン・コスナーが出ている。とにかく若い。演技も若い。落ち着きがなくやたら動いている、というくらいに若いコスナーだ。四年後にはもう「それを造れば、彼が来る」という謎の声を耳にするちょっとヤバい人になってしまうのだ。さらにその翌年には狼と踊る男になっている。なんだか感慨深いものがある。よくわからんが。
で、こんな話さ。
偶然に知り合った兄弟と二人の男たちが町を牛耳る悪い奴らを成敗するのである。
四人の男たちによってストーリーはテキパキと進む。まず寝込みを襲われたエメネットのクールなカウンターから始まる。その後エメットは姉の住む町シルバラードに向かうのだが、中途で仲間に裏切られて荒野にて下着姿で放置プレイ中のペイドンを助ける。
袖振り合うも多生の縁、って、二人でエメットの弟がいる町に行くのだが弟ジェイクは絞首刑を待つ身であったん。やっべえじゃん。じゃあ、って二人はジェイクを助け、さらに酒場でちょいとあったマルにも逃走中に援助されて四人は、じゃあ、ってシルバラードに向かうのであった。
実に教科書どおりというか、正しい四人組といった感じでバランスがとれている。
リーダー格のエメットは正にアカレンジャーである。彼の行為は正しい。判断は正しい。そして早撃ちである。とにかく困ってるやつを見捨てない。酒場でさりげなく初対面の黒人マルを助けるとこ、カッコいいんです。ひとりで早撃ちの練習をして弾切れになったところを襲われフルボッコにされるという間抜けさも持ち合わせている。
新命明、すなわちアオレンジャー的なペイドン。無頓着のようで情に脆い男である。なついてしまった野良犬のために悪い仲間と縁を切る男である。
安定した生活を手にするが、圧倒的不利な状況でもやはり仲間を見捨てることはできない。もちろん銃の腕前もエメットと同格、だろう。痺れる!
一番悲惨な目にあってる気がするが、いつだって仲間を助けることは忘れないマル。
完全に通りすがりで、エメットにたまたまちょっと助けられただけなのだが、どこからか必ず見てくれているのだ。ポジション的にはキレンジャー?モモレンジャー?よくわからんが、中間の男だ。
ミドレンジャーはもちろんジェイクである。わかりやすい末っ子キャラである。
非常にわかりやすいストーリーなのであった。西部劇を見てみたいけど、でもなんかな、最初に何を見ればいいのかな?たくさんありすぎてよくわからんな、って悩んでるような人にオススメしたい。
まずは名作中の名作「駅馬車」とかジョン・フォード監督作、またはハワード・ホークス監督作なんかを見てみるのが一番だろうが、入りやすさならこっちだ。
80年代のアクション娯楽映画の影響下にありながら、かつての西部劇のトラディショナルなエレメントも満載である。
ていうか、西部劇のあらゆる要素をまんべんなくブチ込みました、という感じである。
裏切られた挙げ句に砂漠に放置、絞首刑寸前、牢屋、酒場で乱闘、悪い保安官、悪い資本家、ギャンブラー、踊り子、故郷が悪に支配されてる、移民たちの大移動、二丁拳銃、野営、一対一の決闘、などなど。
主人公がボコられるというマカロニウエスタン的な要素もある。欠けてる要素といえばネイティブアメリカンくらいだ。
これらをきれいにまとめて無理なく詰め込んでいるのだ。スターウォーズやレイダースの脚本を書いた監督なだけあって、わかってる、そんな感じだ。非常に洗練された、エンターテイメント色の強い映画である。
どうでもいいが映画「メジャーリーグ」のインディアンス監督のオッサンが出てたな。あと「インディペンデンス・デイ」のメガネの博士も。
などと、なんか見たことある、という役者さんが散見された。あんまり俳優には詳しくないのでよくわからないが、もっといたかもしれない。
それじゃあ読者諸君、毎日は愉しいだけじゃない、哀しいだけじゃない。では失敬。