ONE FOOT IN HELL
1960年。監督ジェームズ・B・クラーク。主演アラン・ラッド。音楽ドミニク・フロンティア。
アラン・ラッドである。
シェーンである。
正直なところ主役としてルックスがイマイチで、もたっとしてる感じがして、どうなんだろうなあ、なんて思ったのだが、そんなことなかった。
なかなかの傑作なのであった。アラン・ラッドは頑張った。魅力的ではなかったがよくやった。
ブルースプリングスていう町にたどり着いたミッチは体調が悪くなった嫁を診てもらおうとしたのだが、ブルースプリングスの住民の対応は冷徹で愚鈍だった。
結果1ドル87セントの薬代が払えずミッチはやむなく銃を向けるがあえなく捕まり、モタモタしてるうちに嫁は死んでしまったのであった。
さすがに住民たちは、うわ、ってなった。やべ、ってなった。
と、とりあえず町に残りなよ、仕事を斡旋するから、という住民どもの償いに従いミッチは副保安官になるのであった。
いつまでも苦しいことから逃げてはいられないよね、前を向かなきゃだめだよね、心機一転ミッチはブルースプリングスで新しい人生をはじめるのだった。
でもそれは虚飾なのであった。
ちっとも前なんて向いてないのであった。
ミッチの憎しみが、やさしいふりをしてブルースプリングスの町を包んでいたのである。
ミッチは1ドル87セントのために妻を死に追いやった連中への復讐だけを考え、副保安官の任務を遂行していたのである。そのために各方面の手練れをかき集めるのであった。
逆にひくわぁ、っていうくらい復讐に燃えるミッチ。むしろシェーンよりも人間味がある。ような気がする。
怒りを爆発させて日々を送っているわけではないのがとても怖い。
すんげー恨まれてる町の住民も悪党というわけではなく、普通の人たちなのである。
集められた仲間たちもキャラが立っていて、復讐計画の準備中は何やらそれぞれが希望を胸に、みたいな感じがするのだがミッチは悲願成就のために不要となれば容赦なく切っていく。
人間として壊れているのである。タイトルどおりまさに、地獄へ片足、なのであった。
それじゃあ読者諸君、日々は愉しいだけじゃない。哀しいだけじゃない。では、メリークリスマス。