IL PREZZO DEL POTERE
1969年。監督トニーノ・ヴァレリ。主演ジュリアーノ・ジェンマ。音楽ルイス・エンリケス・バカロフ。
ジェンマである。なにはともあれ、ジェンマである。「怒りの荒野」の監督とふたたびコンビを組んでのジェンマである。
舞台はダラスである。ケネディ大統領暗殺をモチーフにしたウエスタン、というなかなかの力業である。暗殺されるのはもちろんケネディではなくガーフィールドという大統領なのだが、なんだか架空の大統領みたいな名前だが実在の大統領で、1881年にダラスではなくワシントンで暗殺されている。へえー。
南北戦争で敗北した南部テキサスあたりでは戦後も政府に、奴隷解放政策に不満をもっている金持ちが多いという背景があって、ガーフィールド大統領のダラス遊説も歓迎ムードは薄いのであった。
実は暗殺計画を企てているのは他ならぬ保安官とその一味で、まあ保安官の背後に黒幕で町の有力者ピンカートンがいるのだが、そうとは知らずにビルのパパが、暗殺計画の有力な情報とかゲットしたよー、なんて暢気にいってきて結局は殺されてしまう。
有力な情報というのは大統領を乗せた汽車を鉄橋ごと爆破したろ、という恐ろしいもので、ビルはどうにか計画を阻止することに成功するのである。
やあ助かったわい、などと阿呆な大統領であったが結局は馬車でのパレード中に射殺される。詰めがあまい。というか、この辺は実際のケネディ暗殺事件をかなり意識していた。
銃撃戦は控えめだ。ジェンマの派手なアクションもあまりない。だがジェンマは怒っている。いつになく怒っている。用心棒ではないが看板に偽りなしだ。
正義のため、弱き者のために怒りまくるジェンマは最高である。
それじゃあ読者諸君、毎日は愉しいだけじゃない。哀しいだけじゃない。では失敬。

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