片手にドーナツ、心に花束

西部劇、マカロニウエスタン、ときどきアメコミ。

【シルバーサドル】


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Sella Dargento

1978年。監督ルチオ・フルチ。主演ジュリアーノ・ジェンマ。音楽フランコ・ビクシオ。

監督のフルチは以前にここで紹介した「真昼の用心棒」や「荒野の処刑」の監督で、犬やらムチを使った残虐シーンを多用した内容だった。ホラーの帝王と呼ばれる監督らしいので当然なのだろうが、今回は違う。そんなんじゃない。子供、そしてジェンマである。音楽も古いCMにでも使われてたかのようなキャッチー過ぎるポップチューンのテーマ曲が、これでもかというくらいに劇中で流れる。最初は違和感があったが、不思議なものでこれでもかというくらいに聞かされると逆に心地よくなるのであった。マカロニウエスタンなのにほんわかすること間違いなしの、ハートウォーミングな作品である。

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映画「シルバーサドル」より

で、こんな話さ。
10歳のときに父の仇を撃ち殺し、そいつの銀の鞍を奪って使いつづけてシルバーサドルの異名をもつようになったガンマンのロイ。だが仇はあくまで手下でしかなく、黒幕のバレット家を狙っていたロイは流れ着いた町で怪しい依頼を受けるのであった。

死体から金品を漁ることを生業とする元ガンマンのスネーク。こいつがロイの相棒のような役割である。実にマカロニウエスタンなキャラなのだが、残念ながら今作では目立つ存在ではない。そんで怪しい依頼というのは、とある墓地で待ってて、したら男がふらっと現れるからそいつを殺して、したら2000ドルあげるけん。というもので、どう考えても裏がある依頼で、報酬が破格すぎることに訝しむロイであった。でも、ふらっと現れる男がどうやらトーマス・バレット、すなわちパパの仇の黒幕であると知るなり、ロハでもやりますよ!と前向きに検討するのであった。

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映画「シルバーサドル」より

だが違った!現れたのは黒幕ではなかった。ぬいぐるみのような子供だった。育ちの良さそうな子供が馬車から降り立ったのであった。あれってなったロイであったが突然に山賊みたいな連中に襲われる。成り行きで子供を助けたロイだが、子供が仇であるトーマス・バレットの甥トーマス・バレットJr.であると判明したとたんにアッチイケヨ、などと言って冷たくあしらうのだった。でもまた運命はすぐに二人を結びつけるのだった。

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映画「シルバーサドル」より

なにやら裏がありますなあ、などとロイが調査をしていると、Jr.は預かってますよお、身代金をくださいなという脅迫状がバレット家に舞い込む。しかもロイの署名入りで。ちゃうちゃう、自分ちゃいますと弁明に務めるロイであったが犯人はすぐに判明した。スネークだった。キレたロイはスネークと絶縁。教科書どおりのバディムービーかと思わせてあっさりコンビは解消してしまうのだった。このへんはJr.の可愛さをアピールするためだろうか?確かに映画自体が変な方向に向かってしまうのではないかというくらいにJr.は可愛さ全開になっていく。

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映画「シルバーサドル」より

さて、なんやかんやあって絶縁したくせに結局はスネークに助けてもらって、最後はマカロニらしからぬロイの鮮やかな謎解きで締めくくられるのだが、そんなことはどうでもいいのである。ラストのJr.とポニーはもう反則としか言いようがない。我らがジェンマもかすんでしまうじゃないか。完敗である。フルチ監督恐るべし、である。フルチ監督の凄さが堪能できるマカロニなのである。とにかくJr.の輝きが凄まじい。マカロニというジャンルを軽く飛び越えて、映画史に残るくらいの名演なのではないか。言い過ぎか。「ペーパー・ムーン」のテータム・オニールくらいの輝きである。言い過ぎか。言い過ぎじゃないか。エエジャナイカ。

それじゃあ読者諸君、毎日は愉しいだけじゃない。哀しいだけじゃない。では失敬。

このブログで紹介済みのフルチ監督二作品。

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