片手にドーナツ、心に花束

西部劇、マカロニウエスタン、ときどきアメコミ。

【O.K.牧場の決斗】


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GUN FIGHT AT THE O.K.CORRAL

1957年。監督ジョン・スタージェス。主演バート・ランカスター。カーク・ダグラス。音楽ディミトリ・ティオムキン。

「荒野の七人」の監督であるジョン・スタージェスの「決斗三部作」の第一弾で、タイトルどおりOK牧場の決闘を題材にしたウエスタンなのであった。もちろんガッツが拳で語らう映画ではない。牧場といってもcorralの日本語訳がおかしいので、実際は牧場ではなく単なる牛や馬の囲い場で、そもそも舞台となったトゥームストーンにOK牧場なんぞは存在せず、囲い場の近くの通りで起きた銃撃戦なのであった。
同じ決闘を扱ったウエスタンは他にも多数あるが、有名なのはジョン・フォードの「荒野の決闘」や90年代の「トゥーム・ストーン」である。それぞれがそれぞれのカラーを打ち出していて、同じ題材でもまったく違う映画になっているよ。

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映画「O.K.牧場の決斗」より

で、こんな話さ。
知らぬ仲ではないので助けてやったドク・ホリデイにまとわりつかれるワイアット・アープは、兄弟たちを助けるためにクラント一家との対決に向かうのであった。

 

冒頭、フォート・グリフィンつう町に三人の男たちがやってくるのであった。弟の敵討ちとしてドク・ホリデイをやっつけにきたのだが、あえなく返り討ちにあう。しかもナイフで。やられた男はリー・ヴァン・クリーフであった。そんなどうでもいいところに思わず熱視線を送ってしまうのだった。
時を同じくしてダッジ・シティの保安官であるワイアット・アープは悪党のクラントン一家を追いかけてやってきたが、そこの保安官はすんげえヘタレで、クラントン一家を見て見ぬふりをしていたのである。西部の町によく駐在している保安官である。あーあ、損した、帰ろ。というところで、民度の低い町民どもにドクがリンチされそうになり、ドクのカノジョさんのケイトに請われワイアット・アープは助けてやるのだった。
とりあえず「荒野の決闘」とはかなり違う。とても同じ題材を扱っている映画とは思えない。

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映画「O.K.牧場の決斗」より

そしてワイアット・アープはやたらと移動する。ダッジ・シティ→フォート・グリフィン→ダッジ・シティ→トゥーム・ストーン、と忙しい。ホームであるダッジ・シティに戻ったワイアット・アープのもとへドクとケイトがやってくるのであった。うわ、ってアープは思った。めんどくせ、ってアープは思った。さらには女ギャンブラーのローラまでやってきてアープはまた、うわ、って思った。ぼくの平和な町ダッジ・シティの風紀が乱れていく、って思った。


ドクは病に侵されながらもアープに借りを返すまでは消えそうもない。歯医者崩れのギャンブラーだが、とても律儀なのだ。さらにはなんだかんだいってアープとローラとはいい感じになる、というか結婚の約束をするのである。でもそんなのはオマケのようなものだ。ケイトもローラも男たちの引き立て役に甘んじている。「荒野の決闘」よりも男成分が数倍増しだ。
そんなこんなで賑わいをみせるダッジ・シティであったが、アープのもとにトゥーム・ストーンの兄弟から助けを求める連絡がきたのであった。クラントン一家との対決である。アープは、決闘に行くんなら結婚せえへんとほざくローラを振り切って兄弟たちを助けに行くのであった。

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映画「O.K.牧場の決斗」より

決闘へ向かう4人の男。この構図、この佇まい、カッコよすぎるだろ?

そして熱い。熱い男たちの、たぎる血潮祭りである。トゥーム・ストーンへ向かうアープをドクは助っ人として追いかける。死期が迫るドクをケイトは必死で止めるのだが、ドクは言う。
「せめて、ただ一人の親友として死なせろ」
ぐふ。
「荷物は?」というアープの問いかけにドクはポケットのトランプだけを見せるのである。
ぐふ。
たまりませんなあ。周囲の男子に物足りなさを感じている女子諸君は必見だ。もちろん、蹴っ飛ばされて転がって疲れるだけの日々を叩きつぶしている男子も同様だ。

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映画「O.K.牧場の決斗」より

あと、クラントン一家の末っ子ビリーとしてデニス・ホッパーも出てる。若い。とにかく若い。アープの説得に応じてマジメ君となるか、家族と共に悪さをつづけるかで揺れ動く繊細な演技を披露している。ついでに、OK牧場の決闘後日談といえる「墓石と決闘」が同監督によって作られた。役者は変わってしまったが、闘いはまだ終わってないのだ。

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映画「O.K.牧場の決斗」より

 

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映画「O.K牧場の決斗」より

それじゃあ読者諸君、毎日は愉しいだけじゃない。哀しいだけじゃない。では失敬。

↓同監督の映画史に残る傑作↓

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同じO.K.牧場の決闘を題材にした巨匠の名作。

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