片手にドーナツ、心に花束

西部劇、マカロニウエスタン、ときどきアメコミ。

【情無用のジャンゴ】


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Se sei vivo spara

1967年。監督ジュリオ・クエスティ。主演トーマス・ミリアン。音楽イヴァン・ヴァンドール。

いきなり地面から手が伸びているのであった。ゾンビか。でも地中から伸びているわけではなかった。生きてんだか死んでんだかの主人公は名無しの流れ者で、ジャンゴは配給会社がつけた名前で、あやかりジャンゴで、でもここではジャンゴと表記していくことにして、で、生きてんだか死んでんだかなジャンゴは二人のネイティブ・アメリカンに助けられるのであった。ネイティブの発言からするとジャンゴは死んでいたようだが、とにかくなんやかんやの儀式によって生き返るのであった。
I am the resurrection である。

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映画「情無用のジャンゴ」より

で、こんな話さ。
許しがたいアメリカ人たちに裏切られて生き埋めにされたメキシコのジャンゴは奇跡的に生き延び、復讐に向かうが。

マカロニウエスタンのシュールレアリズムと絶賛されたらしい。
確かに普通ではないマカロニである。独特なカット割りやアングル、ボーイズラブ、そして代名詞である残酷描写。もちろん今見るとさほど残酷ではないのだが、まあまあむごい演出が多い。ジム・ジャームッシュの「デッドマン」の元ネタともいわれるが、ネイティブ・アメリカンが死んだ男を蘇らせる、そこだけである。ノーボディーはブレイクをある場所へと導いていくが、今回の二人はそういうことはしない。なんか所在なくジャンゴについてくるだけだ。ネイティブの思想や文化よりもキリスト教的な色合いが強い。
ネイティブ二人もよくわからない奴らで、ジャンゴが持っていた砂金を溶かして勝手に弾丸をつくるのである。しかもドヤ顔で。さらには天国の話を聞かせろよー、とジャンゴにねだり、お前の復讐の相手にはこの金の弾丸が導いてくれる、みたいなことを言うがそうでもなかった。あいつら馬も食料も不足してるから最寄りの町にいるんじゃね?などとネイティブの合理的な推測に基づいて簡単に追いつくのである。

弾、関係ねーじゃん。

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映画「情無用のジャンゴ」より

たどり着いた町はネイティブが「不幸の町」と呼ぶ町で、先に到着していた悪人どもですら薄気味悪いと感じる町なのであった。で、その通りになって悪人どもは皆殺しにされ吊るされる。ひとりリーダーは生き延びるのだが結局はジャンゴに黄金の弾丸を撃ち込まれてしまう。いっいなんなんだ!という展開である。もはやジャンゴもすることがないじゃないか!とも思うのだがジャンゴは町に残るのである。

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映画「情無用のジャンゴ」より

町は、悪いことしたらアカン!という、まあ当たり前のことを過剰に遂行する町で、でも町の連中も悪い奴らばかりで部外者に厳しくて、仕切ってるのは酒場の店主と牧師で、さらに牧場主ソロとその子分どもがのさばっている。よそ者の悪人連中が全滅すると、金の争奪戦になって結局は内ゲバ状態になる。ジャンゴはそこに巻き込まれたんだか自ら飛び込んでいったのだか、なんだかよくわからないが、事態の中心人物としてかきまわしていくのである。

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映画「情無用のジャンゴ」より

ネイティブによって甦ったジャンゴは自分だって悪人どもの仲間だったくせになぜか善き人みたいになっていて、復讐とか金とかどうでもよくなっていて、最終的には「不幸の町」を浄化する使者となっていく。でも物欲はないくせに色欲はめっぽう強く、さらに、おいらは絶対に口は割らへん!などと息巻いていたがあっさり拷問に屈し、蝙蝠怖い蝙蝠怖い、などと金の在処をゲロってしまうのだった。

結局のところジャンゴのやったことといえば、何の罪もない馬に爆薬をくくりつけてソロ一味を殲滅したくらいで、酒場の店主も牧師も自滅みたいなもんで、さらにはネイティブの一人は巻き沿いをくらって頭の皮を剥ぎ取られるという残酷な方法で殺されてしまう。恋仲となった牧師の、監禁されていた嫁さんも自害してしまうし悲惨である。果たして町は浄化されたのかどうか、ラストで町の子供が不気味な遊びに興じていて、なんか受け継がれてるなあ、怖いなあ、わしゃもう知らんというふうに去っていくジャンゴであった。情け無用である。

それにしても今回のミリアンはキメ顔でとおしている。

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映画「情無用のジャンゴ」より

それじゃあ読者諸君、毎日は愉しいだけじゃない。哀しいだけじゃない。では失敬。

 

「情無用のジャンゴ」を元ネタにしているらしい「デッドマン」↓

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すくすくと男前になっていくトーマス・ミリアンを見たいなら↓

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トーマス・ミリアンが暴行犯?そんな馬鹿な↓

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